尿細管などの上皮組織を通して行われる物質の移動や輸送のこと。ナトリウム‐カリウムポンプは、ATP(アデノシン三リン酸)のエネルギーを使って、ナトリウムを汲み出しカリウムを細胞内に取り込む。細胞はこの働きによって細胞内のイオン組成を保ち、生きている。尿細管のような輸送上皮はこのポンプを使ってナトリウムやカリウムを輸送したり、このイオンの動きを利用してその他のさまざまの物質を組み合わせて輸送する。これ以外にもATPのエネルギーを用いるイオンポンプがいくつか知られている。このように直接あるいは間接に化学反応と結びついた輸送を能動輸送とよび、濃度勾配や電位差に従う受動輸送と区別される。上皮細胞は、IV型コラーゲンでできた基底膜というシートの上に乗り、隣同士はタイト結合という鉢巻き状の連結帯でつながれている。尿細管のような輸送上皮は、タイト結合と基底膜との間の空間(側方間隙)に向いた細胞膜の面積を著しく広げて、輸送の能率を上げている。水やイオンなどの物質は、細胞内を通り抜けることもあるし(経細胞経路 ; transcellular pathway)、タイト結合から側方間隙に抜けることもある(傍細胞経路 ; paracellular pathway)。