2009年7月に成立した、改正臓器移植法(10年7月施行)に盛り込まれた、親族への臓器優先提供に関する規定。現状では、その親族の範囲を、提供者の親、子、配偶者としている。養子の場合は、戸籍上も実親との関係を絶つ特別養子縁組だけを認め、事実婚は認められない。一般に臓器提供は無償の行為として考えられ、金銭の授受や強制・強要によらないことにおいて、公平性をもたせている。1997年に成立した臓器移植法は、提供先を指定できないとしたが、脳死状態からの臓器移植の実施数が増加しない(2010年1月25日時点で86例)ことを受け、改正法では、臓器提供を促す方策として親族優先が盛り込まれたと考えられ、世界的にユニークな制度になっている。親族優先提供としているが、第三者への提供意思が前提となっている。親族優先のみの意思表示は無効である。改正法の優先提供条項は、10年1月17日より施行。それに先立ち、厚生労働省の臓器移植委員会では、親族優先提供を意思表示した人が自殺した場合は優先提供を認めないとし、自殺を誘発することに配慮した。親族優先の意思表示ができるのは15歳以上である。