日本で1997年に成立した臓器移植法を、2007年に改正した法律。改正前は、臓器提供者の提供意思の尊重と、15歳未満の脳死の判定を認めなかったことなどから脳死下臓器移植の実施例が少ない状態にあった(10年1月25日時点で86例)。3年後の見直しということも書かれていたが、社会的な議論が進まず、何度か提出された改正案も国会での審議が進まず廃案になったりした。国際的には、08年に国際移植学会が渡航移植を批判したイスタンブール宣言を採択し、その影響で、世界保健機関(WHO)が渡航移植の禁止決議に向かうとされ、日本で09年春に改正議論が活発化した。提供者の意思や年齢を論点に、衆議院に4案が提出され、提供者の年齢制限をなくし、本人が明確に拒否していなければ、家族の同意のみで臓器摘出できる、という案が通った。参議院では修正案も提出されたが、衆議院での改正案がそのまま成立した。施行は10年7月。改正法では世界的にもユニークな、家族への優先提供も認められた。救急医や小児科医からは、子どもの脳死判定の困難性や、長期脳死患者の存在なども指摘され、検討課題が残っている。親族への優先提供は、10年1月17日に施行となっている。