脳死の状態が長期間におよんでいること。一般に、脳に障害を負って脳死状態に至った場合は、呼吸を確保するため人工呼吸装置をつけても1週間ほどで心臓が停止し、死亡するとされる。しかし、このような状態が、長期にわたって継続している症例も少なくない。とくに子どもの場合には、一般に用いられている脳死判定基準によって、脳死状態とされても、何年も心臓停止に至らない例がある。また、妊娠をしている脳死患者の女性が出産したという症例も報告されている。これら長期脳死の患者の存在は、2009年7月の臓器移植法の改正に際して注目された。改正法では、臓器提供者の年齢制限をはずし、提供者の意思表示が不明の場合は、家族の同意のみで、脳死判定と臓器摘出が可能とした。そのため、子どもの脳死判定の実施が現実的になり、多くの長期脳死患児の親から疑問の声が上がった。また、小児科医や救急医からは、子どもの脳死判定は難しいとの声もあり、改正法の施行に向けての課題が提起されている。