ヒトの体細胞から取り出した核を、あらかじめ核を除いた卵子に移植し、発生させた胚から作成した胚性幹細胞のこと。ES細胞（→「ヒト万能細胞（ES細胞）」）を、治療したい臓器の細胞に分化させても、遺伝子が異なると移植時に拒絶反応が起こって効果が得られない。そこで患者の体細胞と同じ遺伝子をもち、拒絶反応を起こさないES細胞を作る方法が求められた。2004年、韓国人研究者が最初の成功論文を発表したが、のちに捏造（ねつぞう）であったことが判明。その後も各国が研究を競い、13年5月、オレゴン健康科学大学（アメリカ）の立花真仁研究員らのグループによって初めて作成された。クローン技術規制法では、ヒトクローン胚の作成は禁止されてはいないものの、子宮への移植は認められていない。そのためヒトクローンES細胞への操作は、慎重に対応することが倫理的に求められている。