自宅で死を迎えること。2017年9月15日に厚生労働省より発表された16年の人口動態統計によると「在宅死」は13%で、前年より0.3%増えたことが示された。1950年頃には自宅で死ぬ人が80%を占めていたが、その後は減少し、70年代半ばに「病院死(病院や診療所での死)」が在宅死を上回り、2006年では在宅死が12.2%となった。以降は12%台で推移していたが、ここ数年は03年頃の水準に戻っている。背景には在宅医療の推進とともに、老人保健施設や老人ホームなどでの看取り介護の増加による病院死の抑制、高齢者の単身世帯の増加の中での「孤独死」の増加などもある。また、厚生労働省が07年に策定した「終末期医療に関するガイドライン」では「治療中止」などの判断の手続きが示されていたが、18年1月17日に示された改定案では、在宅や介護施設での看取りを望む人のためにも適用範囲が広げられ、今後はますます在宅死が増加することが予想されている。在宅死の増加には個人の意思やQOLを尊重する風潮もあるが、一方で医療費抑制を目的とした経済政策の一環との指摘もあり、団塊の世代が多く死亡することが予想される10年後の日本社会のあり方への対応の問題も問われている。