感染して腫瘍を作るウイルス。がんウイルスともいう。いくつかのウイルスは、細胞や動物をがん化させることが知られている。ヒトに関しては子宮頸がんとの関連が確実なヒトパピローマウイルス(→「尖形コンジローム」)、バーキットリンパ腫・上咽頭がん・胃がんの一部の原因と目されているEBウイルス(Epstein-Barr virus)、肝がんの原因であることが確実視されているB型肝炎ウイルスが重要である。RNA型の腫瘍ウイルスはほとんど、レトロウイルスに限られている。ほとんどの動物の白血病、リンパ腫、肉腫の原因となっているが、1980年と81年に、ヒトでも成人T細胞白血病の原因ウイルスHTLV-1が見つかり、しかもこの白血病が日本で多発することから精力的な研究が行われている。また、フラビウイルスに属するC型肝炎ウイルス(→「C型肝炎」)も肝がんの原因であり、がんウイルスとよんでよい。