トガウイルスの中のフラビウイルスに属する、日本脳炎ウイルスにより発症する感染症。このウイルスは蚊が保有するため、日本では夏季に多い。ウイルスを持った蚊の刺し傷から侵入したウイルスは、血液から脾臓やリンパ節などの網内系の細胞に取り込まれ、そこで増殖する。次いでウイルス血症が起こり、全身症状を呈してくる。多くは症状が出ない不顕性感染、または軽度の発熱程度で終わるが、一部の感染者ではウイルスが血液脳関門を越えて脳に達し、無菌性髄膜炎や脳炎を起こすことがある。脳炎の一般症状は、ウイルスの侵襲場所により、種々の症状の組み合わせとして引き起こされる。その予防対策は、媒介昆虫である蚊の駆除やその増幅役を果たす豚のコントロールなど。こうした公衆衛生学的なアプローチとともに、有効なワクチンもある。