発熱や筋肉痛の後に、顔面両ほおから体表面に赤い平坦な発疹(紅斑)が起こるウイルス感染症。パルボウイルスB19というDNAウイルスに、初めて感染した小児が発症する。患者の多くは5~10歳児で、とくに夏に流行する。顔面紅斑は1週間ほどで消失する。発疹の出現前に、多くのウイルスが患者から放出されており、飛沫ならびに接触を介して感染する。成人はパルボウイルスB19に対する免疫を獲得しているといわれる。ウイルス抗体陰性の妊婦が感染すると、その胎児に水腫が起こり、流産の原因となる。すなわちリンゴ病の危険性は抗体陰性の妊婦に対してであり、患者を近づけないなどの注意が必要である。成人になって初めて感染すると顔面紅斑は少なく、手足の発疹が多い。症状は小児より重く、関節炎を合併することがある。ただし、抗体陰性の妊婦を除いて、多くの場合は治療の必要がない。治療や予防用のワクチンはない。