5歳以下の小児に多い、手のひら、足の裏、口腔内に水疱(すいほう)が起こるウイルス発疹症。発疹のかゆみはまれ。乳幼児を中心に、夏期に流行する。成人の発病者はほとんどない。原因ウイルスは、エンテロウイルスというRNAウイルスの仲間で、コクサッキーウイルス、エンテロウイルス71などである。このウイルスは口腔から入って糞便に排出され、症状が消失後も糞便に検出される。飛沫、接触、糞口感染(糞便中のウイルスが口に入って感染すること)が、その伝搬経路となる。ほとんどの患者の症状は軽度で、通常3~7日間で回復する。非常にまれなケースとして、エンテロウイルス71などに感染した小児が、髄膜炎や脳炎を発症し、死亡することもあるので注意が必要である。コクサッキーウイルス、エンテロウイルス71のウイルス遺伝子の変化は非常に早く、日本だけでなく中国や東南アジアなどで、多くの遺伝子型が知られている。毎年、その流行株が異なる。患者の隔離の必要はないが、手洗いの励行によって流行が抑えられる。治療や予防用のワクチンはない。