山林や河川敷などの土中に生息する、ツツガムシ(恙虫)というダニの仲間が媒介する細菌が、人間に感染して高熱や発疹を起こす感染症。感染者の皮膚には、ツツガムシの幼虫による刺し口がみられる。症状は、発熱数日後に体幹部に発疹が出現し、全身倦怠感(けんたいかん)、頭痛、刺し口に近いリンパ節の腫脹などがみられる。重症例では、全身性出血に進行する危険があるので、数週間以内に山林に入り、刺し口、発熱、発疹があれば、内科専門医の受診が必要である。ワクチンはないが、適切な抗生物質治療が有効である。北海道と沖縄を除く地域で、春~初夏、秋にそれぞれ患者が発生する。人から人へは感染しない。原因菌は、オリエンティア・ツツガムシというリケッチア(生きた細胞内でしか増殖できない細菌)である。ツツガムシの幼虫が人の皮膚に刺し口を作って体液を吸うまでには数時間かかるので、幼虫を皮膚に付着させない、また危険性がある場所で作業した際は着衣をなるべく早く着替える、などが予防法とされている。なお、ツツガムシの幼虫は体長約0.3ミリであり、肉眼ではほとんど見えない。