妊娠早期(多くは3カ月まで)の妊婦が風疹に罹患することで、ウイルスが胎児の器官形成に悪影響を及ぼし、新生児に先天性心疾患、難聴、白内障、さらには知能発達障害、低体重などが起こる病気。妊婦が風疹ウイルスに初めて感染し、胎児にウイルス感染が及ぶことによる。風疹は、日本では三日はしかともいわれ、かつては春に流行し、毎年多くの患者の発生が見られた。このウイルスに有効なワクチンは1970年代後半に導入され、まず女子を対象に、その後は全員に接種が行われ、近年、流行は減少しつつあった。しかし、ワクチン非接種者、ならびに接種者でも免疫反応の誘導が悪い女性には、風疹の感染の危険性があった。2013年春に風疹が流行し、先天性風疹症候群の新生児が秋から冬に急増したため、社会の注目を集めた。母親が風疹になって胎児まで感染が及ぶのが3分の1で、先天性風疹症候群を発症する割合は、さらにその3分の1といわれる。国内でのワクチン対策が、いかに重要であるかとの認識をさせられた事例である。