結核菌以外の抗酸菌の感染による肺炎。抗酸菌とは脂質のきわめて分厚い膜に覆われた覆われた細菌群で、肺など高濃度の酵素環境を好む。その中で結核菌が最も病原性が強い。結核菌がヒトからヒトへのみ感染するのに対し、土壌や水系などの自然環境に生息している非結核性抗酸菌は、ヒトからヒトへの感染はない。2002年までは、非定型抗酸菌と呼ばれていた。非結核性抗酸菌症の原因菌となるのは、8割がマック菌、1割がカンザシ菌、残りが他の抗酸菌である。初期段階では症状がなく、免疫機能が低下した高齢者などに、せき、たん、血たん、息切れなどの呼吸器症状が数年後に出現する。病状の進行もきわめて緩徐であり、すべての症例に治療が必要なわけではない。一方、エイズ、白血病、臓器移植などによる免疫不全の状態では、細菌感染が全身に拡大することがある。治療としては、抗生物質の投与が行われるが、回復には1年以上の長期服薬が必要である。