脳ドックとは、人間ドックが総合精密健康診断であるのに対し、脳の疾患に特化した精密健康診断のことをいう。MRIという安全な検査方法で脳の血管撮影ができるようになり、日本で急速に普及し、1996年には脳ドック学会が設立された。早期発見の対象となる疾患には、脳腫瘍や小さな脳梗塞などもあるが、特に未破裂動脈瘤が注目されている。未破裂動脈瘤が破裂して、クモ膜下出血を生じる確率についてはいまだに統一した見解が得られていないが、一例を挙げると、2002年国際共同研究ISUIAでは径7~9ミリの未破裂動脈瘤の年間破裂率は0.7%である。現状では、小さな動脈瘤は破裂する危険が少ないことと、動脈瘤の予防的治療となる開頭手術自体の副作用の大きさから考えて、一定の大きさ以下の脳動脈瘤については経過観察にとどめる場合も多い。破裂を起きやすくする因子としては大きさ、部位、多発性、喫煙、合併症が挙げられる。また、自治医科大学の脳神経外科の根本繁教授などが数多く手がける、血管内手術による脳動脈瘤コイル塞栓術は、患者への侵襲も少なく、未破裂動脈瘤の治療として注目されている。