有効な勃起が得られない、もしくは維持できないため、満足な性交が行えない状態のこと。従来、「インポテンス(性的不能)」という言葉で表現されてきたが、勃起障害あるいは勃起不全を意味するEDという言葉の方がより適切な表現であるとして、こちらの呼称が一般化してきている。日本でも現在、40~70歳代の男性を中心としてEDが増加しており、患者は日本では約900万人以上、米国では約3000万人以上と推計されている。勃起は性的刺激が神経を介して陰茎海綿体の動脈を開き、血液が陰茎に蓄えられることによって維持される。この機構のいずれかの部分が障害されることでEDを発症するが、その原因は多岐にわたる。ストレスやうつなどの精神疾患、糖尿病、高血圧症、喫煙などに起因する血行障害、服用中の薬剤の副作用、多量の飲酒などが挙げられる。この他にも前立腺がんや膀胱がんの手術、脊髄損傷等によって、勃起に関係する神経が損傷して発症することもある。診断は問診と勃起機能の検査により、必要に応じてEDを引き起こす基礎疾患の検査も行われる。治療は基礎疾患の治療が優先されるが、必要に応じて経口薬(クエン酸シルデナフィルなど)が使用される。経口薬が有効でない場合等には、血管手術や陰茎プロステーシス移植術などの外科的療法が考慮される。