レビー小体型認知症は、認知症の中で、アルツハイマー病、脳血管性認知症(→「認知症」)に次いで3番目に多い疾患であり、日本の認知症の約2割を占めるといわれる。レビー小体とは、もともとパーキンソン病脳で発見された特異な変化(たんぱく質のかたまり)のことを指す。1984年に小坂憲司医師らが、脳の様々な部位にレビー小体が観察される疾患をまとめてレビー小体病と呼ぶことを提唱し、特に大脳全体に広くレビー小体が観察される認知症をびまん性レビー小体病(diffuse Lewy body disease ; DLBD)と呼んだ。パーキンソン病では脳幹部(黒質)にレビー小体が出現するのに対して、DLBDなどのレビー小体型認知症では大脳皮質などにも多くのレビー小体が確認される。DLBDは通常アルツハイマー病と同様に物忘れで発症し、しばしば病初期に幻覚や妄想を伴う。症状が進行するにしたがって筋固縮(筋肉のこわばり)や寡動(かどう[動きが遅くなる])といったパーキンソン症状が加わることが多く、最終的には寝たきりになる。レビー小体型認知症では時にアルツハイマー病と同様の病理学的変化(老人斑、神経原線維変化)が観察されることがある。治療に関しては、パーキンソン病の治療薬であるL-Dopaが試みられたが、パーキンソン症状は改善されるものの、認知機能や精神症状は改善されないことが知られている。レビー小体型認知症患者は時に精神症状を示すが、抗精神病薬に過敏で、少量でも副作用が出てしまい、使用できないケースが少なくないといわれている。