医師の指示に従いながら、患者自身が一定範囲内でインスリン注射量を調整し、血糖をコントロールする、糖尿病のきめ細かい治療法。インスリンの頻回注射や、専用の医療器具を使ってインスリン製剤を持続的に注入するインスリン持続皮下注入療法を、血糖値の自己測定を行いながら併用する。例えば注射を打つ回数は、通常のインスリン療法は1日2回程度だが、強化インスリン療法の場合だと4回以上になる。何種類かの製剤を計画的に組み合わせることで、インスリン分泌のパターンを健常な人に近づけると、合併症の出現頻度や程度を大幅に抑えられることも分かってきた。1型糖尿病(若年性)や妊娠糖尿病の患者に対しては、強化インスリン療法が標準治療となってきたが、生活習慣病の一つである2型糖尿病においても、合併症の頻度を下げるために有効とされている。今後、注射に代わる非観血的な(痛くない)インスリン投与法が開発されると、強化インスリン療法が広く標準的になるかもしれない。