妊娠中に発症したか、または初めて認識された耐糖能低下を伴う疾病。現在は、多くの医療機関で、妊娠の診断時とインスリン抵抗性が増加する妊娠中期に、血糖のチェックが行われている。1999年に日本産科婦人科学会と日本糖尿病学会が合同で定めた基準によると、75グラム経口ブドウ糖負荷試験で空腹時血糖値100ミリグラム/dl以上、1時間値180ミリグラム/dl以上、2時間値150ミリグラム/dl以上のうち、2つ以上を満たすものを妊娠糖尿病という。糖尿病と診断された女性が妊娠した場合の糖尿病合併妊娠と同じように、胎児、新生児の合併症を発生させやすく、将来糖尿病に進展する可能性が高い。巨大児(出生体重4000グラム以上)の頻度、また流・早産や死産の頻度が高く、重症の場合は低出生体重児が生まれることもある。母体には感染症や妊娠高血圧症候群が好発し、羊水過多になる可能性、胎児の奇形発生も多く、出生後新生児に低血糖が生じることがある。妊娠糖尿病にかかったら、妊娠中の食事内容と運動不足に注意し、医師の管理と指導を仰ぐ。