高齢者に多い転倒について、予防法の普及や啓発を目的とする学会。2004年にスタートした転倒予防医学研究会を改編し、医療や介護分野の専門家が中心となって14年4月に発足した。65歳以上の高齢者の転倒は、大腿骨骨折や頭部外傷などの傷害を招き、その結果、寝たきりになることも多いことから社会問題となっている。さらに近年では、転倒によって死亡する転倒死事故が急増し、国内だけで年間7000件を超えている。特に運動習慣のない人は、筋肉量の低下だけでなく、バランス感覚が衰えているために転ぶことが多い。そこで学会理事長を務める東京大学の武藤芳照教授は、転倒予防のためのストレッチや筋力増強運動、歩行指導などからなる「転ばぬ体操」を提唱した。中でも手軽にできるのは継ぎ足歩行で、片足のつま先に、もう片方の足のかかとを付けるようにしながら一直線上を歩く。また靴を覆く、浴槽に入るといった、何気ない動作の時に片足で立つこともバランス感覚の鍛錬になる。