月経に関する症状では、気血水(きけつすい)のうちの血(けつ ; 血液)とのかかわりを重視する。視床下部-下垂体性の排卵障害の場合、手足の冷えやむくみがあって体力が低下した人には当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、比較的体力のある人で月経痛が強い場合には桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などが候補となる。当帰芍薬散は、動物実験で視床下部からの黄体刺激ホルモン(LH ; lutenizing hormone)、卵巣刺激ホルモン(FSH ; follicle stimulating hormone)の分泌促進効果が報告されており、実際の臨床でも、長期服用することで基礎体温が二相性に安定することが多い。桂枝茯苓丸は、動物実験で視床下部からのLH分泌促進効果や、黄体機能の改善効果が報告されている。また、高プロラクチン血症(脳下垂体から分泌されるホルモンの異常亢進)による排卵障害では、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)による血中プロラクチン濃度の低下が報告されている。多嚢胞性卵巣症候群(卵巣に無数の卵胞がたまって起こる病気)による排卵障害では、温経湯(うんけいとう)なども使用される。冷えやストレスなども、ホルモンバランスを崩す要因になるので、体を温めたり、ストレスを発散させるようにすることも大切である。