比較的体力が低下した冷え症の人が、月経不順や月経困難、更年期障害、不妊症など、婦人科系の病気を患った場合に頻用される処方。配合生薬は、温熱効果のある当帰(とうき)、川キュウ(せんきゅう)、桂枝(けいし)、呉茱萸(ごしゅゆ)、半夏(はんげ)、生姜(しょうきょう)のほか、滋潤作用のある麦門冬(ばくもんどう)と阿膠(あきょう)、生命活動を営むエネルギーである気(き)を補う朝鮮人参(ちょうせんにんじん)、血行をよくする牡丹皮(ぼたんぴ)、筋肉けいれんに効果のある芍薬(しゃくやく)と甘草(かんぞう)の組み合わせが含まれ、幅広い効能が期待できる。足は冷えるが、手のひらが火照り、口唇が乾燥する人に有効な場合が多く、冷え症の人の指掌角化症といった湿疹にも応用される。ミカン科の果実である呉茱萸は、苦みの生薬であるが体を温めて痛みを鎮め、嘔吐(おうと)を止める作用があるため、片頭痛に有効とされる。また、筋肉けいれんに有効な芍薬甘草湯も含まれているため、冷えで悪化する月経痛や腰痛などの痛みにも応用される。