めまいは、自分や周囲が動いていないにもかかわらず、「回転している」「浮いている」ような感覚を覚える症状をいう。血圧の低下、内耳の疾患、脳を含む神経系の異常などが原因の場合は、西洋医学による治療が優先される。しかし明らかな原因がなくても、めまいを訴える場合がある。漢方医学的な病態把握では、気血水(きけつすい)のうちの水(すい)の異常と特に関わりが大きいと考える。水のめぐりが悪いと、雨や低気圧が来る前にめまいが増悪する傾向にあり、浮腫、頭重などの症状を伴うこともある。その場合は、沢瀉(たくしゃ)や茯苓(ぶくりょう)などを含む苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)、五苓散(ごれいさん)などを用いる。胃腸の働きが弱い場合も、水のめぐりが滞りやすいため、半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)や真武湯(しんぶとう)などを使用する。心因性めまいの場合は、「気」のめぐりが滞っていることがあるので、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)や抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)などを処方する。