比較的体力が低下した人の、めまいや頭痛に使用される処方である。漢方医学的には、リンパ液や汗などの体液である水(すい)が胃腸虚弱のために滞り、頭痛やめまいが生じたと考えられる。配合生薬は、半夏(はんげ)、白朮(びゃくじゅつ)、天麻(てんま)、茯苓(ぶくりょう)、陳皮(ちんぴ)、黄耆(おうぎ)、朝鮮人参(ちょうせんにんじん)、沢瀉(たくしゃ)、黄柏(おうばく)、乾姜(かんきょう)、生姜(しょうきょう)、麦芽(ばくが)である。ラン科の天麻は、五臓の一つで、自律神経や筋肉の働きと関係のある肝(かん)の乱れから、めまい、ふらつき、頭痛など頭部に症状が出現した場合や、関節痛、しびれ、まひ、けいれんなどが起こる場合に用いられる。オモダカ科の沢瀉は、水のめぐりをよくして、めまい、頭重感、浮腫を改善させる効果がある。胃もたれなどに頻用される六君子湯(りっくんしとう)の構成生薬を多く含むため、胃腸虚弱の人の頭痛、頭重感、めまい、肩こりなどの症状に有効である。頭痛やめまいを伴う慢性副鼻腔炎の患者などにも応用される。小児の起立性調節障害に対しても使用され、胃腸虚弱で疲れやすい小児のめまい、立ちくらみ、動悸(どうき)などの改善に有効であったと報告されている。