神経痛は、末梢神経の走行に沿って、鋭い痛みが繰り返し生じる病態。三叉神経痛、坐骨神経痛、肋間神経痛、帯状疱疹後神経痛などがある。腫瘍による神経圧迫などで生じる神経痛には、手術や鎮痛剤投与といった西洋医学的治療を優先する。その他の原因が特定できない神経痛の場合、漢方医学では水(すい)のめぐりが悪い状態と捉えることが多いため、それを改善する茯苓(ぶくりょう)や朮(じゅつ)、体を温める附子(ぶし)を含む桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)が代表的な処方である。また、神経痛は体表に近い症状と考え、頭痛や寒気など、かぜの体表症状に効果的な葛根湯(かっこんとう)、桂枝湯(けいしとう)なども処方する。増悪要因を軽減することも大切で、冷えで神経痛が悪化する場合は、血(けつ)のめぐりを改善させる当帰(とうき)や川キュウ(せんきゅう)を含む疎経活血湯(そけいかっけつとう)、五積散(ごしゃくさん)によって痛みをとる。また、帯状疱疹後神経痛で、疲れると痛みが悪化する場合は、疲れを改善する補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などを用いる。