アトピー性皮膚炎は、アレルギー体質の人に起こりやすい慢性の皮膚の病気。漢方では、皮膚は内臓の状態を表すと考えるため、湿疹など肌の状態だけでなく、胃腸の働き、呼吸器疾患の有無など、全身の状態を総合的に判断して治療を行う。治療には、皮膚の状態を改善させる標治(ひょうち)と、体質改善を目標とした根治(こんち)とがある。小児のアトピー性皮膚炎では、患者が虚弱体質で胃腸の働きが悪い場合が多く、皮膚炎が落ち着いた後も胃腸の働きを高める小建中湯(しょうけんちゅうとう)や黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)などを比較的長期間、服用させることで根治を行う。大人のアトピー性皮膚炎においても、ストレスによる掻爬(そうは)行為で皮膚炎を悪化させてしまい、皮膚の標治だけでは不十分なことがある。そうした場合は、抗ストレス作用がある柴胡(さいこ)を含む柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)、四逆散(しぎゃくさん)、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)などを併用する。