地黄(じおう)、山茱萸(さんしゅゆ)、山薬(さんやく)、沢瀉(たくしゃ)、牡丹皮(ぼたんぴ)、茯苓(ぶくりょう)を配合生薬に含む処方。六味地黄丸ともいう。元来は小児の発達遅延に用いられていたが、現代では小児から高齢者まで幅広く用いられる。五臓の中の腎(じん)の働きを整える処方である。腎は親から受け継いだエネルギーを蓄え、西洋医学的な腎臓の働きのほか、成長・発育・老化などに関わる。比較的体力の低下した、疲れやすい子どもが頻尿、浮腫、かゆみなどを訴える場合に使用される。夜尿症、排尿障害、皮膚掻痒症(そうようしょう)などに応用される。成人では、排尿障害や腰痛など下半身の症状に用いられる。六味丸に、体を温める作用のある生薬の桂枝(けいし)と附子(ぶし)を加えた八味地黄丸(はちみじおうがん)も腎を補う代表的処方であり、冷えを伴う高齢者に頻用される。地黄で胃もたれなどの胃腸障害をきたす人もいるため、胃腸虚弱者には注意して用いる。