現在のインターネットの基盤技術であるIP(インターネット・プロトコル)はバージョン4と呼ばれ、1981年に設計された技術である。それから30年以上が経過し、種々の問題が指摘されるようになってきた。特に、接続される装置を識別するための番号であるIPアドレスの不足が、90年代初頭から指摘されてきた。現在のインターネットには、約10億台のコンピューターが接続されていると推測されているが(2016年1月の統計)、IPバージョン4では2の32乗、つまり約43億程度の装置しか識別することができない。そのため新しいIP(インターネット・プロトコル)として、バージョン6の開発が進められてきたが、移行はまだ緩慢な状況である。
しかし、11年2月3日にIANA(Internet Assigned Number Authority)がプールするIPバージョン4アドレスの中央在庫は枯渇し、アジア・オセアニアのIPアドレスを管理するAPNICにプールされているものも、さらには日本のJPNICが管理しているものも11年4月15日にすべて払い出された。また、RIPE-NCC(ヨーロッパ地域、12年9月14日)、LACNIC(ラテンアメリカおよびカリブ海地域、14年6月10日)、ARIN(北米、およびカリブと北大西洋地域、15年9月24日)の在庫も枯渇したとアナウンスされている。残るAfriNIC(アフリカ地域)も2018年半ばには枯渇すると予測されている。したがって、現在日本国内においてIPバージョン4のアドレスの割り当てを新規に受けようとしても、原則としてできない状況にある。
こうした状況に対応するため、さまざまなIPバージョン4延命技術の開発と、IPバージョン4アドレスの利用権利移転などの手続き整備等について、インターネット関連組織で活発な議論が進められているが、速やかなIPバージョン6への円滑な移行がもっとも望まれている。すでに、iOSのアプリについてIPバージョン6への対応が必須とされており今後急激にIPバージョン6への移行が進むと考えられる。