現在、多くの端末がIPバージョン4およびIPバージョン6の両方に対応している。このため、IPバージョン4もIPバージョン6も利用可能な状況では、両方の機能が利用可能なデュアルスタック環境で運用されることが多い。このような環境では、最初にIPバージョン6で通信しようとし、何らかの理由によって問題が発生した場合にはIPバージョン4での通信を行うようになる。この動作をフォールバックと呼び、IPバージョン6での通信が失敗したと判定されるまでしばらく時間がかかるため、多少の待ち時間が必要となる。当然、通信相手がIPバージョン4でしか通信できない場合には最初からIPバージョン4で通信を行うこととなる。
通常の通信では、通信を開始する前に相手のIPアドレスをDNSで問い合わせる。この際に、AAAAレコードとしてIPバージョン6アドレスが登録されていた場合、通信相手がIPバージョン6に対応していると判断し、IPバージョン6での通信を開始する。ところが、NGN網のようにIPバージョン6アドレスを用いているが、グローバルなIPバージョン6網への接続性が無い場合、常にこのフォールバックが発生することとなる。この待ち時間は1~30秒となるため、場合によっては大きな問題となる。
この問題は、2011年6月8日に開催された「World IPv6 Day」で顕在化することとなったが、12年6月6日の「World IPv6 Launch」までに十分な対策準備が進められ、現状では大きな問題は生じていない。ただし、現在の解決策はAAAAフィルタリングと呼ばれる手法で、IPバージョン6で接続できるサイトもIPバージョン4でのアクセスを優先するようにするものであり、本質的解決ではない。今後、本格的なIPバージョン6への移行を進めることが求められている。