問題というものは、それを解くのに必要なだけの情報がそろっていて、初めて解くことができる。解くのに必要な情報が与えられている問題のことを良設定問題(well-posed problem)と呼ぶ。一方で、それを解くのに必要な情報が一部欠けている問題のことを不良設定問題と呼ぶ。不良設定問題はもちろんまじめに解こうとしても解くことができない。人工知能の抱えている問題のほとんどはこの不良設定問題である。たとえば画像理解において二次元画像から三次元物体の情報を復元することを考えれば、復元の仕方は無限にあり、そのままでは一意に復元できない。すなわちこの問題は不良設定問題である。人間が復元しているようにコンピューターで復元するためには不良設定問題を良設定問題に変える必要がある。人工知能ではヒューリスティックスを適切に選ぶことで不良設定問題に情報を付け加えて良設定問題に変形して解いている。