天然に存在する中で最大の原子番号92を持つ元素。質量数235、238の2種類の原子核が存在する(極微量の234もある)。ウラン-235は天然ウラン(natural uranium)の中に0.7%しか存在しないが、熱中性子を吸収すると核分裂を起こし、燃えるウランと呼ばれる。一方、ウラン-238は核分裂断面積が小さな燃えないウランだが、中性子を吸収するとウラン-239となり、2回のベータ崩壊(β崩壊〈beta decay〉 原子核がβ線〈ベータ線〉を放出して他の原子核に変換する現象)後、核分裂性のプルトニウム-239となる。国際原子力機関(IAEA)と原子力機関(NEA ; Nuclear Energy Agency )は2年ごとに「Uranium Resources, Production and Demand(通称レッドブック Red Book)」を出し、確認可採埋蔵量(Identified resources USD)と究極埋蔵量(Total undiscovered resources)の推定値を示している。現時点での確認可採埋蔵量は約600万t、究極埋蔵量は約800万tである。現時点での一次エネルギー消費に占めるウランの比率はせいぜい1割程度であるため、可採年数は100年あるといわれるが、もしウランだけで現在の世界のエネルギー需要を満たそうとすれば、10年しかもたない。ウラン価格も、石油価格などと同じように世界の情勢、投機などによって変動しており、確認可採埋蔵量が変動するし、可採年数も変動する。それでも、もともとウラン資源が貧弱であることに変わりはないし、それが発生できるエネルギー量に換算すると石油の数分の1、石炭の数十分の1しかない。