核分裂で生じた高速中性子を減速せず、そのまま利用する型の原子炉。原子炉の中では、核分裂性物質が核分裂する過程と、親物質(fertile material 中性子の吸収で核分裂性物質になる物質)が中性子を吸収して核分裂性物質になる過程が同時並行的に進行する。核分裂性物質の消費量に対する生成量の比を転換比(conversion ratio)と呼び、値が1以上の時は増殖比(breeding ratio)と呼ぶ。熱中性子炉ではこの比を1以上にできないが、高速炉の場合は1以上にできる可能性がある。ただし最近では、増殖はあきらめ、蓄積してしまった超ウラン元素の燃焼を主目的にする動きが強まり、超ウラン元素を混入させた新型核燃料の開発も模索されている。