原子炉で発生するエネルギーの一部を電気に変換する技術。2015年1月1日現在で、世界には431基、合計出力で3億9222.6万kWの原子力発電所がある。炉内で発生するエネルギーを熱出力(thermal output)、そのうち電気に変換されるエネルギーを電気出力(electric output)と呼ぶ。軽水炉の発電効率は約33%であり、電気出力100万kWの原子力発電所の場合、原子炉の熱出力は約300万kW、残りの200万kW分は環境に放出される。近年、立地のための敷地を得ることが難しくなった他、電力自由化の中で、福島第一原発7、8号機、東通原発2号機、敦賀原発3、4号機など一度計画されていたものも次々延期されている。一方、アジアを中心とする新興諸国で新たな建設計画が起こり、アメリカやヨーロッパなどの原子力産業が生き残りをかけて原子力の復興を目指す動きもある。特に近年、地球温暖化は二酸化炭素(CO2)のせいで、「原子力こそ環境に優しい」という宣伝のもと原子力を復興させようとする動きがある。すっかり疲弊してきた原子力産業は原子力ルネッサンス(Nuclear Renaissance)と呼んでいる。しかし、例えば、アメリカのブッシュ前政権が推し進めてきた政策は、建設費の80%を政府資金で債務保証するなどの財政補助であった。もともと、原子力発電が斜陽化した理由は経済性、安全性、貧弱なウラン資源など基本的な性格にある。結局、原子力推進派の期待とは裏腹に、世界の原子力発電はすでに四半世紀にわたって増えていない。今後、中国などがそれなりの数の原子力発電所を稼働させそうではあるが、欧米では次々と廃炉になるので、原子力発電は遠からず終焉を迎える。