日本の原子力開発は「国策民営」といわれるように、国が基本方針を決め、電力会社がそれにしたがって発電所を建設してきた。基本方針を決める国の組織は1956年に設立された原子力委員会で、ほぼ毎年「原子力白書」を出して、情勢分析を示してきた。2010年4月に発表された原子力白書は平成21年版(2009年版)で、地球温暖化対策として原子力の推進をうたった。特に民主党に政権交代し、その民主党が1990年比で温室効果ガス25%削減を掲げたため、白書冒頭で「政権交代と原子力政策」と銘打ち、原発新設や性能向上、海外輸出などによって「新政権が掲げる目標の達成に、原子力は大きな貢献が期待される」と強調した。東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)と福島第一原子力発電所事故が発生する3日前の2011年3月8日には、平成22年版(2010年版)に関しての発表がなされたが、翌4月12日には公表の中止を発表。以降、原子力白書は作成されていない。