石川島播磨重工業(IHI)が開発主体となり、経済産業省、文部科学省が出資して官民共同で開発していた中型ロケット。地球低軌道に4.4トンとH-2Aの約半分の打ち上げ能力を持つ。第1段にアメリカのロッキード・マーチン社製アトラス3ロケット(→「アトラスロケット」)の第1段を使用。第2段に新規開発の液化天然ガスを燃料とする液体ロケットを採用した。当初の予定では2006年度中に1号機を打ち上げる予定だったが、第2段のエンジン開発が難航し、1号機打ち上げは12年以降に延びた。
08年には開発費用の大幅超過が表面化。また第1段を生産終了したアトラス3から新型のアトラス5に変更する必要が生じた。その結果、IHIは開発費用の全額を国が負担するよう主張。一方、文部科学省などは開発中止に動いたものの、一部の自由民主党議員が、安全保障用途で使用するとして開発継続を主張し、事態は混乱した。09年9月に民主党鳩山政権が成立、同政権が実施した事業仕分けにおいて必要性が低いと判定され、開発中止となった。