近年、宇宙における有望な産業として、宇宙観光がクローズアップされている。好奇心という人間の根本的欲望に根ざすものなので、適当な価格で提供しさえすれば必ず産業として成立するだろうという見通しが存在するためである。問題は適当な価格の打ち上げ手段の開発であり、現在、いくつかベンチャー的な民間企業が、宇宙まで昇って降りてくる弾道飛行向けの機体の開発に挑んでいる。地球を回る軌道まで上がる宇宙観光は、ロシアのソユーズ宇宙船を使ったものがすでに提供されているが、費用は2000万~3500万ドル(1ドル90円として18億~30億5000万円)と非常に高価である。2008年に入り、ロシアはソユーズ宇宙船による宇宙観光飛行を中止する意向を示した。国際宇宙ステーション(ISS)が常時6人滞在となり、観光用ソユーズ宇宙船かが手当てできなくなったためである。