アメリカの宇宙ベンチャーのスペースX社が開発した2段式衛星打ち上げ用ロケット。小型のファルコン1と、H-2Aロケットと同じ打ち上げ能力を持つファルコン9がある。ファルコン1は地球低軌道に670キログラムのペイロード(荷物)を打ち上げる能力を持つ。2006年から打ち上げを開始したが、最初の3回は失敗に終わった。しかし、08年9月28日の第4回打ち上げは成功。ファルコン1は、純粋に民間資金のみで開発されたロケットとして初めて衛星を打ち上げたロケットとなった。
ファルコン9は、ファルコン9 v1.0が地球低軌道に10.5トンを、能力増強型の同v1.1が13.1トンを打ち上げる能力を持つ。10年6月に1号機の打ち上げに成功した。ファルコン9は急速に改良されており、13年9月打ち上げの6号機からは「ファルコン9v1.1」となった。第1段エンジンの配置変更、搭載推進剤の増量などで外観がかなり変化した。スペースXはファルコン9用「マーリン1」エンジンの推力強化も行っていて、15年12月からは強力なエンジンで打ち上げ能力を更に向上させた「ファルコン9フル・スラスト(FT)」の運用を開始した。ファルコン9FTからは第1段に脚が標準装備となり、第1段を洋上プラットホームないしは陸上で回収している。ただし、重い衛星を打ち上げる場合には、脚を外して第1段を使い捨てにする。ファルコン9FTは、打ち上げ能力が日本のH-2Aより4割近く大きく、静止トランスファー軌道へ5.5トン。一方、打ち上げ価格は1機6200万ドル(ドル112円として約70億円)で、H-2Aの約100億円に対して7割と割安である。