アメリカの新しい有人打ち上げ用ロケット。地球低軌道に100トン程度のペイロード(荷物)を打ち上げる能力を持つ。アメリカのオバマ大統領は、有人月探査計画のために開発中だった「アレス1」「アレス5」ロケットをキャンセルした後、新規開発計画を立ち上げず、当面は基礎技術、特に第1段用大推力液体エンジンの研究に注力する方針を示した。それに対してアメリカ議会の主に共和党議員が「シャトル退役後に国家としての有人宇宙活動能力が失われるのは好ましくない」として反対。シャトルの技術を利用したSLSの開発を強力にプッシュし、2011年9月に議会が大統領府を押し切って開発開始が決定した。設計的には第1段エンジンに、シャトル主エンジンSSMEを使い捨て用途に簡素化したRS-25Eエンジンを使う以外、アレス5と大きく変わるところはない。18年に初号機を打ち上げる予定だが、開発予算の見通しは逼迫(ひっぱく)しており、2010年代の間に行われる打ち上げは、テスト打ち上げ2回のみとされている。