アメリカの官需打ち上げを一手に引き受けているボーイングとロッキード・マーチンの合弁会社であるユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)の新型ロケット。既存の「アトラス5」「デルタ4」を置き換えることを目的としている。ULAの主力ロケットのアトラス5は、第1段エンジンにロシア製の「RD-180」を採用している。しかし、2014年に起きたウクライナ危機を受けて、将来もRD-180が継続的に入手できるか不明確になったため、ヴァルカンでは宇宙ベンチャーのブルー・オリジンが開発中の「BE-4」を使用する。なお、打ち上げ後にBD-4は切り離してパラシュート降下させ、降下途中にヘリコプターで回収して再利用することで、打ち上げコストを低減する計画。また、第2段の「先進極低温改良段(ACES:Advanced Cryogenic Evolved Stage)」には、電力や圧力を供給するためにピストンエンジンを搭載し、軌道上で数週間以上待機して自在にロケット噴射を行う機能を持たせる。19年から、まず既存のアトラス5の第2段エンジンを使用しつつ第1段にBE-4を装着したヴァルカンを運用し始め、23年からは第2段にACESを使った完全なヴァルカンの打ち上げを開始する予定。