主翼の両端に可動式のエンジンを取り付け、その先端にはプロップローター(prop rotor)と呼ぶ、大きなプロペラを備える航空機。離着陸時にはエンジンを垂直位置にして、プロップローターの回転面を水平にすることで、ヘリコプターのローターと同じ役割を持たせる一方、水平飛行中などにはエンジンを水平にすることで、プロップローターをプロペラと同様に使う。
これにより、垂直離着陸や空中停止などといったヘリコプターの特徴と、ターボプロップ機と同等の高速で経済的な巡航飛行を可能にする。軍用機ではベル/ボーイングV-22オスプレイがすでに部隊配備されて実用化を開始している。一方、民間向けもアグスタウエストランドAW609が開発されて、03年3月7日に初飛行した。しかし、その後の開発作業は大幅に遅れていて、今日では17年の引き渡し開始が目標になっている。ただそれも、15年10月30日に試作2号機が高速飛行試験中に墜落して失われたことで、さらに遅れるのは確実である。またティルトローター機については、まだ民間の型式証明基準が定められておらず、民間型の実用化に向けての大きな問題になっている。