頭文字からヘムトともいう。1980年に、富士通の三村高志氏(現・富士通フェロー)らが初めて開発した、電子がヘテロ接合面を高速で移動する性質を利用した超高速トランジスタ。従来は素子を構成するのに、必要に応じて加えていた不純物が、電子や正孔の移動の妨げとなっていたが、HEMTでは、電子が不純物を含まない高純度半導体層に閉じ込められて移動するので、高速動作が可能となる。電子の移動度は、シリコンやゲルマニウムで、数百cm2/Vs、ガリウム・ヒ素やインジウム・アンチモンでも、数千から1万程度だったのに対し、HEMTでは低温(液体窒素温度)で20万程度のものが報告されている。超高速・低雑音のICや論理素子として研究され、電波増幅用の素子として衛星放送受信機や携帯電話などに使われている。