半導体素子の物理的限界を乗り越えるために提案されている電子スピンを制御する新デバイス。ソースとドレイン電極を磁性体で構成した電界効果トランジスタで、電極からチャンネルに注入した電子のスピンをゲート電圧で制御する。ドレインの強磁性電極は向きが一致したスピン電子のみを取り込むので電流が制御される。半導体中のスピン応答はピコ秒(1ピコ秒=1兆分の1秒)オーダーであり、超高速動作が期待されている。強磁性体・半導体間のトンネル障壁を用いて室温で2%のスピン注入が検出されている。一方、MRヘッドの研究からも磁性材料を使ったメタルベース構造のスピンバルブトランジスタ(spin valve transistor SVT)が提案され、室温で200%のMR比が報告されている。