炭化ケイ素は炭素(C)とケイ素(Si)の1対1の化合物で、組成式がSiCと表記される化合物半導体。シリコンカーバイド(silicon carbide)ともよばれる。バンドギャップ(禁制帯幅)は室温において約3.4eV(電子ボルト)で、バンドギャップに対応する波長は約365nm(ナノメートル)に相当するため、主に青色発光ダイオード(青色LED)の材料として用いられる。結晶構造はウルツ鉱構造と閃亜鉛鉱構造の2種類を取りうる。硬度、耐熱性、化学的安定性に優れることから、研磨材、耐火物、発熱体などに使われる。また、シリコンに比べてバンドギャップが大きい半導体でもあることから、電子素子の素材にもなる。高温,高線量下で利用できる半導体材料として注目され、結晶成長技術の発展にともない、青色発光ダイオード、高速ショットキーバリアダイオード、MOSFET(電界効果トランジスタ)などに使われるようになった。熱伝導率が高いので、他の半導体の基板としても重要である。