酸化亜鉛は亜鉛(Zn)の酸化物であり、組成式がZnOで表される化合物半導体。亜鉛華とも呼ばれ、白色顔料や化粧品、あるいは医薬品などの原料でもある。バンドギャップ(禁制帯幅)は約3.37eV(電子ボルト)であり、可視域で透明である。また、薄膜は圧電性を示すことから、電子デバイスでは弾性表面波デバイスとして高周波用フィルターにも応用されている。酸化亜鉛は材料資源が豊富であり、ドーピング(添加)することで低抵抗となるため、レアメタルを用いているフラットパネルや太陽電池用透明電極として使用されるITO(スズ〈Sn〉を添加した酸化インジウム)膜の代替材料として注目されている。また半導体(酸化物半導体)としては、発光デバイスや薄膜トランジスタなどの新たな応用展開が期待されている。しかしながら、耐酸性が弱く、リソグラフィーなどでの取り扱いが難しい点もある。