緑色の波長で発振する半導体レーザー。GaN(窒化ガリウム)系半導体材料の製造技術の進歩により青色半導体レーザーが実用化されたが、可視光中で緑色の半導体レーザーのみが実現できておらず、グリーンギャップと呼ばれていた。なお、レーザーポインターなどに用いられている緑色レーザーは、赤外光で発振する半導体レーザーの出力光を非線形光学結晶を用いたSHG(second harmonic generation)素子によって緑色の波長に変換したもので、高効率化が難しかった。半導体自身で緑色の発光をさせることが難しい理由は、発光層であるInGaN(窒化インジウムガリウム)層に大きなひずみがかかることに加え、大きな内蔵電界が発生することによって発光効率が低下する点にあった。近年、基板となるGaN結晶の切り出し方向を変えて内蔵電界を小さくする方法や、素子構造最適化の研究が進み、高出力で発振する緑色半導体レーザーが実現できたことが報告されている。赤色、青色レーザーと組み合わせることで光の三原色が揃うため、超小型プロジェクターなどへの応用が期待される。