衛星軌道上に太陽光発電設備を設置し、太陽エネルギーで得られた電力をマイクロ波によって地上の受電設備(レクテナ)に送り、それを商用電力に変換する発電システムである。1980年にアメリカのNASA(連邦航空宇宙局)によって構想された発電システムで、宇宙太陽発電や宇宙衛星発電などとも呼ばれている。宇宙空間では大気による光の散乱がないため、太陽電池の発電効率が高まる。また静止衛星で電気を送り続ければ、発電設備の1年間の設備利用率が90%以上になるために、同じ電気出力の設備を地上に設置した場合に比べて多くの電力を得ることができる(カリフォルニア州で最もよい気象条件で発電した地上太陽光発電の設備利用率は24%程度である)。問題は経済性で、太陽発電衛星、ロケット、宇宙ステーションなどの設備費と打ち上げ費用、それにレクテナと送電の設備費が、地上設置の太陽光発電に比べた電力増加に見合った費用内で収めることはできないと、計画の成立について疑問視する声もある。また高度3万6000kmの軌道からマイクロ波を地上のレクテナに正確に受信させる技術や、マイクロ波による航空機の運航や健康への影響など、未解決な課題も多い。