物理学では仕事の単位時間あたりの大きさを仕事率(パワー)と呼び、その単位は国際単位系(SI)ではワット(W)で表される。パワーは工学分野では「動力」あるいは「出力」といわれており、単位時間(s)あたりの仕事(J)、すなわちジュール毎秒(J/s)で表される。
動力機械は、機械外部から入力された運動エネルギーや化学エネルギーを消費して回転力に変換する機械である。例えば水力発電は、水の高低差を使って水の位置エネルギーを運動エネルギーに変換し、さらにその運動エネルギーでタービンを回転させ、発電機によって電力を得ている。
動力機械によって発生する動力は出力と呼ばれており、それが電気であれば電気出力(電力)となる。電気出力には動力機械による回転の運動エネルギーだけでなく、太陽光発電のように光エネルギーから直接、電気に変換される出力もある。また、出力は、動力機械だけでなく、テレビやアイロンなど家電製品や照明機器のように電力を消費する機器容量の大きさを表すのにも使われている。
電気分野ではパワーとエネルギーの単位として、キロワット(kW)とキロワットアワー(kWh)が使われている。電気出力(電力)は、キロワット(kW)で表され、1キロワットアワー(kWh)で表される電力量は1キロワット(kW)の電気を1時間使った時の使用量である。1ワット(W)は1ジュール毎秒(J/s)であることから、1キロワットアワー(kWh)は、3.60メガジュール(MJ)になる。
発電所の発電機に示されているキロワット(kW)は発電の最大出力で、設備容量ともいわれている。実際の発電電力は、定期検査のほか、水力発電ならダム水位や河川流量、風力発電なら風況、太陽光発電なら日照によって変動するため、発電機の1年間の発電電力量(キロワットアワー kWh)は、最大出力に設備利用率と1年間の時間数である8760時間(24時間×365日)を乗じて求める。例えば、原子力発電所の設備利用率を84%とし、太陽光発電を12%とすると、同じ設備容量(kW)でも発電電力量は7倍も違ってくる。このため、エネルギーを論ずる場合には発電電力量(kWh)を用いる。