ES細胞やiPS細胞以外で全能性(万能性)を持つ細胞の総称である。東北大学大学院医学系研究科の出澤真理教授らは第三の多能性幹細胞として、皮膚や骨髄などの成人ヒト間葉系組織からMuse細胞(Multilineage-differentiating Stress Enduring Cell)を発見し、その効率的な分離方法の確立に成功した。このMuse細胞は生体中に存在するため、多能性を持たせるための遺伝子導入の操作は必要とせず、がん化の危険性が極めて低いことが示唆されているが、そのままでは十分に増殖しない。2011年に、Muse細胞でのみ、iPS細胞が作製できると発表して話題になった。
また、米国の研究チームは、ヒトの卵子と皮膚細胞を使って、様々な組織の細胞に育つ万能細胞を作ることに成功した。できた細胞は形態が通常の細胞と大きく異なるため、すぐに臨床応用にはつながらないが、他の万能細胞の性質を詳しく知る材料になり、臨床応用に向けた安全性や効率の向上などへの貢献が期待される。