日本で提唱される自然保護概念の一つ。自然と人間を対立的に見るのではなく、人間は自然の一部であり、原生自然を守るだけでなく持続的に利用しながら保全していくことを示す思想。2010年に名古屋で開催される生物多様性条約第10回締約国会議で今後の理念として提案する。ただし、英語表現は日本語の直訳ではなく、双方に利益を得るという本来の意味の「共生」では理解されないと見られる。同条約により各国で定めている生物多様性国家戦略では、先進国では原生自然の保護と過剰利用の制限をかかげ、途上国では持続可能な利用をかかげることが多いが、日本では中山間地などの利用縮小がその地域に残る生物多様性の喪失につながることを三つの危機の一つに挙げている点に特徴がある。つまり、人間のために利用するだけでなく、生物多様性のためにも利用したほうがよいという主張である。