太平洋や大西洋を回遊する大型の魚で、本マグロともいう。幼魚はヨコワ。インド洋を含めた海域には近縁のミナミマグロやメバチマグロが生息し、いずれも、寿司ねたとして高価で取引されている。1996年、インド洋周辺のミナミマグロと西大西洋クロマグロが国際自然保護連合(IUCN ; International Union for Conservation of Nature and Natural Resources)の絶滅危惧種に指定された。しかし、その後も漁獲され続け、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT ; The International Commission for the Conservation of Atlantic Tunas)の管理にもかかわらず資源が激減しているとして、2010年に大西洋および地中海のクロマグロを、商業目的の国際取引を禁止するワシントン条約(CITES)附属書Iに掲載するよう提案がなされた。これは日本やオーストラリアなどの反対で否決された。その後、管理が強化され資源が若干回復し、15年の漁獲枠は増加する見通しだ。一方、太平洋クロマグロの資源量は、1990年代前半には比較的高水準だったが、2012年は2.6万トンと1984年の1.9万トンという最低水準に近づいている。マグロは海洋別に国際管理組織があり、カジキを含めたマグロ類などの資源管理を一括して行っており、北太平洋における資源管理には、日本の役割が特に重要である。なお、環境省は日本独自のレッドデータブックとレッドリストを作成しているが、海洋生物の多くは今まで扱ってこなかった。2015年には海洋生物レッドリストを策定する予定だが、大型鯨類やマグロなど国際水産資源については評価対象から除いている。