温度や圧力などマクロな量でなく、個々の粒子やモード(運動状態)、また量子力学的物理量を直接測る観測。粒子の位置、運動量、スピン、光子の偏光などの測定が、これにあたる。スピン(spin)とは粒子が持つ磁気の単位で、偏光(polarized light)とは電磁波の振動が縦振動か横振動かなど、偏光メガネで区別される光の属性である。系の状態は波動関数(wave function すなわち状態ベクトル state vector)で表されるが、その絶対値の2乗が存在確率を表すと解釈するコペンハーゲン解釈(Copenhagen interpretation または確率解釈 probabilistic interpretation)。ある物理量を量子観測した場合に特定の値が得られる確率は、波動関数をその物理量の固有関数で展開したときの係数の絶対値の2乗となる。したがって、観測結果は不確定となり、予測はできない。観測の結果ある特定の値が得られた場合、新しい波動関数はその値に対応する固有関数に突然変わると解釈する。このように、波動関数が量子観測により不連続に変化することを波動関数の収縮(reduction of wave function)、波束の収縮(wave packet reduction)、射影(projection)あるいは量子ジャンプ(quantum jump)と呼び、シュレーディンガー方程式による連続的発展とは区別される。このため、粒子の位置(または運動量)を観測すると、その運動量(または位置)が不確定となり、両者の同時確定精度はプランク定数より小さくすることはできない。同様な関係は偏光やスピン変数など種々の物理量にも見られ、それを一般に不確定性原理(uncertainty principle)と呼ぶ。